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酒は百薬の長
食育というテーマの中で、お酒も欠かせないトピックです。
お酒が体に良いかどうかの分かれ目は「適量」にあります。
お酒は飲み方次第で毒にも薬にもなります。適量ならば、血液循環が良くなり、リフレッシュされ、ストレス、緊張も緩み、百薬の長となります。
アルコールは飲酒後1時間〜2時間でほぼ吸収されます。吸収とともに肝臓での分解も速やかに開始され、この分解速度は個人差がとても大きく、男性でおよそ1時間に9g、女性で6.5g程度です。
例えば、男性が日本酒1合(アルコール量約22g)を飲むと、肝臓は2〜3時間ほどかけてアルコールを処理し続けます。肝臓の処理能力を超えた量のアルコールが、体の中に入ってくると、肝臓は不完全燃焼を起こし、過剰なアルコールは肝臓を素通りして全身に行き渡り、
これが「酔っ払った」状態である。
一方代謝過程のアセトアルデヒドが血液中に流れて体内に留まると、この毒性の強い物質は吐き気や頭痛などの不快な症状をひき起こします。これが「悪酔い」と言われる状態です。
「適量」って、どのくらい?
日本酒で1日1合〜2合、ビール1本〜2本、ウイスキーW1杯〜2杯、ワイン1〜2杯位となります。もちろん1日1種類で、ですよ。
お酒を毎日大量に飲めば、中性脂肪が増え、HDLコレステロールの低下、LDLコレステロールの増加につながり、さらに血圧が上がり、高血糖状態を引き起こします!
厚労省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると「節度ある適度な飲酒量」は純アルコールで1日あたり平均約20g程度!
また、一般的に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いため、男性の1/2〜2/3程度の飲酒が適切であると考えられています。
純アルコール20グラムに相当する酒量
ビール 中瓶1本(500ml)
日本酒 1合(180ml)
ウイスキー ダブル1杯(60ml)
焼酎(25度) グラス2分の1杯 (100ml)
ワイン グラス2杯(200ml)
チューハイ(7%) 缶1本(350ml)
飲める人と、飲めない人は、何が違うの?
その違いはALDHで決まる!
飲める人と飲めない人は、アルコールを分解する酵素を作り出す遺伝子を持つか、持たないかで決まります。
有害なアセトアルデヒドを分解する脱水酵素ALDHには4種類あり、このうち最も主要なものをALDH2といいます。
分解酵素を2つ持っている人は、飲める。1つの人は、まま飲める。持っていない人は飲めない。これは両親からの遺伝なのでトレーニングで変えることができません。
自分の体を知って楽しく飲むことが大切ですね。
赤・青・黄色でわかるお酒の危険信号
飲めない体質の人は、アルコールを飲むとすぐに顔が赤くなります。そして心臓がドキドキして、しまいには不快感を起こし、顔面蒼白になることもあります。
また、いくら飲んでも顔色が変わらない人は、かなり強いですが、酒で肝臓を悪くすると言うのは、むしろ飲める人です。顔が赤くならなくても黄疸で黄色くなったら、肝機能は危険な状態になっています。
お酒と楽しく付き合うには
・空きっ腹で飲まない
アルコールは胃から吸収されます。胃が空っぽの時は、あっという間に吸収され、悪酔いの原因になります。
・ゆっくり食事と一緒に飲む
「飲みながら食事をとらない」と言う人もいます。その飲み方はNG!
体を壊す原因になります。食事と一緒に楽しむことを習慣づければ、飲み過ぎの予防にもなります。
・休肝日を作る!
週に2日続けて飲まない日、休肝日を作り肝臓を休ませましょう。
肝臓は再生する臓器です。一生、美味しくお酒をのむか、残念!飲めなくなるか。
休肝日にかかっています。
・強いお酒は薄めて飲む
ウイスキーや焼酎など、アルコール度数の高いお酒は、胃腸への刺激が強い上、酔いが回りやすいため、肝臓への負担も高まります。水などで薄めてゆっくり楽しみましょう。チェイサー(水)はアルコールによる胃への刺激を和らげます。
一生お酒を楽しむために
飲み方を間違えると、食道炎、急性胃腸炎などの急性の病気になることがあり、長期的には肝臓病、膵臓病、高血圧、脳血管疾患、心疾患など、あらゆる病気の原因になります。
酒は薬にもなれば毒ともなります。
少しアルコールが入って、楽しい雰囲気で語り合う事は、コミニケーションツールとしても最適です。上手にお酒と付き合っていきたいですね。
『ベルーナグルメ』参照 国民健康づくり運動[健康日本21] (厚労省ホームページ)
『健康管理学1』 日本医協学院 監修特定非営利活動法人,日本成人病予防協会