身近だけど、実は怖い あなたの中の水
水は体の最も大きな構成成分であり、大人の体重の約60%を占めています。
赤ちゃんではさらに多く、約80%、幼児では約75%となります。
このうち約70%は細胞内、約30%は組織間や血液といった細胞外に含まれています。
例えば体重60キログラムの人は、約36キログラムの水を体の中に持っています!
私たちの体は約37兆個の細胞からできています。細胞内液はその一つ一つの細胞の中に存在します。命の活動に必要な栄養素や排泄すべき老廃物は細胞内液と細胞外液の間を行き来しています。
水分の役割
・血液の主成分として栄養素や酸素など様々な成分を一つ一つの細胞に届けるそして各細胞や組織からの老廃物を体外に排出する。
・成分を溶解することにより各種反応の媒体となる。
・電解質のバランスを維持する。
・浸透圧のバランスを保ち細胞の形を保つ。
・発汗作用により体温を調節する。
多くて、実は少ない水
地球が水の惑星と言われるのは、地表の約70%が水で覆われているからです。そのうち97.5%が海などの塩水で、淡水はわずか2.5%!さらに淡水の約70%が氷河、氷山。約30%が土中の水分地下水です。私たちが普段利用している淡水は、地球上にあるすべての水の0.01%に過ぎません!!
地球上の水は海水、水蒸気、雲、雨、氷、雪などに姿を変えながら循環しています。
私たちの体を構成している水も地球上を循環する水の一部なのです。
ですから体の水分が減少すると大変なことになります。
体重の2%の水分が減ると、強い喉の渇きを感じ(トレーニング中この状態になるともうすでに脱水の手前)8%でめまいや呼吸数の増加、20%の水分を失うと命を失います。水が一滴もない状態では人間は5日と生きられないと言われています。
水の重要性を理解いただけたと思います。
水はいくら飲んでも、◯◯だと吸収されない
水分は腸管で吸収されます。一度に吸収できる量は250ml程度で、それ以上の水をとると胃に大量の水が溜まってしまいます。
水を飲んでも飲んでも喉の渇きが収まらず、胃がチャプチャプした経験をお持ちではありませんか?
こうなるとトレーニングどころではありません。
(ちなみに生ビールはジョッキ何杯飲んでも平気だよ、と言う方。アルコールは胃で吸収されるので、吸収が早いのです。水はそういうわけにはいきませんね)
脱水症状でトレーニング中に倒れ痙攣を起こしている姿を何回も見ました。今では熱中症で倒れる方も多いですね。これは命に関わる大変なことです。
トレーニング中に(普段の生活でも)喉が渇いたと思った時にはすでに2%減少!
水分を少しずつこまめに取る方法をウォーターローディングといいます。
トレーニング前に水分を補給し、トレーニング中は喉の渇きを感じなくても15分から30分間隔で意識的に、積極的にこまめに水分を取ります。
水分がうまく取れているかどうかは、トレーニング前の体重とトレーニング後の体重で比較します。
もし500g体重が減っていたら,それは水分が抜けたことなので(体の脂肪がなくなったわけではありませんよ!)500mgの水分を補給します。
『ラクダはいいなぁ背中のコブに水を貯めているから、こんな気遣いしなくてもいいんだ』と思っているあなた。ラクダのコブは水ではなくて、脂肪でできています。食べ物が不足するとコブの中の脂肪を分解してエネルギーにします。コブの重さは30Kgほどで、大きいものは50Kgから100Kgになるものもあるそうです。
身体の水分調節
NPO法人日本食育協会スポーツ食育アドバイザーテキストより
気温が高い時や運動をすると、血流が良くなることで体温が上がります。
この時、体温が上がりすぎないように身体、特に熱に弱い脳を冷やさなければなりません。
そこで大脳の視床下部が『汗を出して体温を下げろ』と命令を出します。
その命令が交感神経に伝わり、アセチルコリンと言う神経伝達物質が放出され、汗が皮膚から分泌されます。
汗は蒸発するときに熱を奪い(気化熱)体内の熱を逃して体温を下げます。
そのトレーニング命の危険です!
熱中書予防のスポーツガイドブック 日本スポーツ協会より
この炎天下、河川敷や運動場などで、サッカー、野球、またお年寄りのゲートボールなどされている姿を何回も見かけます。今年は特に真夏日が連続し、気温が上昇。身体にとってこの状態でトレーニングするのは、命の危険を伴います。
コーチや保護者の方が、水の大切さをよくご理解され、「熱中症予防運動指針」に従って楽しくトレーニングされることを望みます。
命を守るご提案
今年は猛暑です。トレーニングでパフォーマンスを上げる、または健康維持のために運動する。どちらにしても体にデメリットがなく、効率よくステージアップしていくために、水分補給のタイミング、量がカギを握っています。
トレーニング時にはもちろん、ちょっとしたお出かけなどにもマイボトルで水分を持ち歩
く。そして喉が渇く前に少しずつ水分を取る、そんな習慣を身に付けてください。
命を守る習慣です
またスポーツ飲料や、甘いジュース、自販機で販売しているようなイミテーション飲料では、不必要な甘さ(より喉が渇きます)、そして添加物なども大量に入っているので、なるべく自宅から水や麦茶お茶などを持ち歩くことをお勧めします。
今年は猛暑ですが、上手に水分補給をし、トレーニングでストレス解消、体も作りながらこの夏を楽しみましょう。
参照
NPO法人日本食育協会スポーツ食育アドバイザーテキスト
日本医協学院 健康管理士一般指導員、健康管理能力検定一級テキスト